本文
熊野古道
JR紀伊宮原駅を出発、かつては「暴れ川」と恐れられた有田川にかかる宮原大橋を渡ると中将姫ゆかりの得生寺(とくしょうじ)があります。周辺は有吉佐和子の小説『有田川』の舞台にもなった糸我(いとが)の里が広がり、道は糸我王子を経て糸我峠への上り坂になります。
糸我峠から見晴らす湯浅湾の風景に癒されながら道を下ると逆川(さかがわ)王子に着きます。後鳥羽上皇の熊野御幸に従った藤原定家が記した『御幸記』にはこの王子は「サカサマ王子」と書かれています。さらに道を進んだ方津戸(ほうづと)峠の近くには、弘法大師伝説が残る弘法井戸があります。
方津戸峠を下り、山田川沿いを歩いて北栄橋を渡れば湯浅の中心部はすぐ。重要伝統的建造物群保存地区や立石道標(たていしどうひょう)が立つ道町通りの古い町並みの中でひと息入れながら、歩いた古道への思いをゆっくりめぐる時間を楽しみましょう。